2005年10月30日

だめだこりゃ

ドナウよ、静かに流れよドナウよ、静かに流れよ/大崎善生

「虚飾」の一言。
いらん装飾がいっぱいの文体。いらんエピソードもりだくさん。上滑りの個人感情もりだくさん。付け焼き刃が透けて見える半端な知識もりだくさん。
興味深い事件だと思うが,それをもってこれでは×。

知識として唯一おもしろかったのは,ルーマニアの交響楽団を率いる日本人指揮者=尾崎晋也氏のくだり。
この人は,
 たとえば日本ではとてもではないがオーケストラの前に立てないようなバイオリニストやピアニストをルーマニアに連れていき、自分の交響楽団のソリストとして演奏させ、コンサートを開かせたりCDを録音したりして、なにがしかのお金をいただくのである。つまり、日本や西欧では絶対にできない、演奏家の長年の夢を叶えてやるのだ。
という。
「演奏家の長年の夢」だけでなく,クラシックの素人に対するハク付けにする場合も多そうだ(というようなことをこの作者はことごとく「見逃す」)が,なにせ二流三流の演奏家の虚勢に一役買うことで「貧しいルーマニアのオーケストラ七、八十人をそれによって食わせているのである。…尾崎はトゥルグ・ムレシュ市の名誉市民の称号を与えられている」。
なるなるー。作者が実際に会った尾崎氏のくだりもなかなか興味深い。
ルーマニアと日本の関係の一側面やあるいはクラシック音楽界の裏側が垣間見える。ちょっと興味がわく。
ラベル:だめだこりゃ
posted by doino at 11:05| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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